第4章 水のひみつを探検
こんにちは、小さな科学者たち! 第3章では、食べ物の中に隠された「化学反応」のひみつを探りましたね。重曹と酢がぶくぶくと泡を立てたり、牛乳がレモン汁で固まったり…。あの変化はすべて、目に見えない小さな粒「分子」が、新しい友達を見つけて手をつなぎ直したからでした。
さて、今回の舞台は、もっともっと身近なもの。それは、水です。
あなたは毎日、水を見たり、飲んだり、触ったりしていますね。でも、水について「知っている」つもりになっていませんか? 水はただ透明で、流れるものだと思っていませんか? 実は、水には驚くべき力と、不思議な性質がたくさん隠れているのです。この章では、台所にあるコップやお皿、ストローなど、ごく普通の道具を使って、水のひみつを探検していきましょう。
水は、私たちの体の大部分を形作り、地球の表面の約7割を覆い、雨となって空から降り、川となって海へと流れます。この水が、なぜ丸い水滴を作るのか、なぜ重い船が浮かぶのか、なぜ植物の先っぽまで水が届くのか…。その理由を、自分の目と手で確かめる5つの実験が待っています。
実験を始める前に、もう一度、絶対に守るべき3つのルールを確認しましょう。
1. 大人同伴:この章の実験は、全て大人(保護者)と一緒に行います。一人では絶対に始めないでください。
2. 口にしない:実験に使った材料や器具は、たとえ水や砂糖など食べられるものでも、絶対に口に入れません。実験用と食用ははっきり区別します。
3. 指示遵守と混合禁止:書いてある手順は安全のために作られています。必ずその通りに進めましょう。特に、説明にないものを混ぜたり、自分でアレンジしたりするのは危険な場合があるので禁止です。
それでは、実験ノートとペンを用意して、水の世界への探検に出発しましょう!
実験1:コインの上の小さな湖~表面張力のひみつ~
準備するもの
- 10円玉か50円玉(きれいに洗って水気をふき取ったもの) 1枚
- 水道水
- スポイト(目薬の空き容器でも可。なければ、割り箸の先を水にちょっとつけて水滴を作る方法でもできます)
- トレイやお皿(コインから水がこぼれても大丈夫なように下に敷きます)
- 実験ノート、ペン
予想してみよう!
実験ノートに、今日の日付と「実験1:コインの上の水滴」と書いてください。
さて、問題です。平らな10円玉の上に、スポイトで水を一滴、また一滴と落としていくと、いったい何滴まで乗せられるでしょうか? あなたの予想をノートに書いてみましょう。「5滴くらい?」「10滴!」「もっとたくさん!」自由に想像してください。
実験スタート!
1. トレイの上に、コインを平らに置きます。
2. スポイトに水を吸い上げます。
3. コインの真ん中の少し上から、そーっと、一滴の水を落とします。ポタッ。
4. どうなりましたか? コインの上に、ぷっくりとした丸い水滴ができたはずです。この水滴を、上から、横から、よく観察してみましょう。まるで小さなレンズのようになっていませんか?
5. では、2滴目を落としてみましょう。最初の水滴のそばに落とすのではなく、最初の水滴の上に、そっと重ねるように落とします。難しいかもしれませんが、挑戦してみてください。
6. 水滴はどうなりましたか? 一つに合わさって、少し大きくなった水滴になったでしょう。
7. 3滴目、4滴目…と、同じように水滴を追加していきます。水滴はどんどん大きくなり、コインのふちまで広がっていくでしょう。
8. ここが一番ドキドキする瞬間です。 水滴がコインのふちからはみ出しそうな、ぎりぎりのところまで来ました。次に落とす一滴で、ついに水がこぼれてしまうでしょうか? それとも、まだまだ乗るでしょうか?
9. 慎重に、一滴ずつ追加していきます。水滴はコインのふちを越えて、まるでふっくらと盛り上がったゼリーや、透明なドームのように見えてくるはずです。信じられないくらいたくさんの水が、コインの上に乗っているように感じられます。
10. ついに! ある一滴を追加したとき、パッと水がコインのふちから一気にこぼれ落ちます。実験終了です。
結果と観察
実験ノートに、結果を書きましょう。
- 結局、何滴乗せられましたか? 予想と比べてどうでしたか?
- 水がこぼれる直前の水滴は、どんな形をしていましたか? 「コインの形にぴったり沿っていた」「ふちから盛り上がっていた」「すごく丸くてきれいだった」など、あなたの言葉で描写してみましょう。
- 水がこぼれる瞬間は、どんな感じでしたか? 「一気にだらーっと流れた」「少しずつあふれ出た」?
科学のとびら:表面張力ってなんだ?
なぜ、あんなにたくさんの水が、コインからこぼれ落ちずにいられたのでしょうか? その秘密は、水の分子にあります。
水の分子は、とても仲の良い友達同士で、お互いに手をつなぎ合う力(引き合う力) が強いのです。コインの上の水滴の中では、分子たちは四方八方から友達に引っ張られています。しかし、水滴の表面にいる分子たちは、少し困った状況にあります。上には友達がいないからです。そこで、表面の分子たちは、横と下にいる友達に、いつもより強く引き寄せられます。この力によって、水滴の表面は、まるで薄いゴム膜や、ピンと張った布のように引っ張られた状態になるのです。これを表面張力といいます。
この表面張力のおかげで、水滴はできるだけ小さな表面積(外気と触れる面積)になろうとします。同じ体積の中で最も表面積が小さい形は「球」です。だから、水滴は丸くなるのです。コインの上では、重力で少しつぶれた形になりますが、それでも表面張力が水をまとめ上げ、こぼれ落ちるのをぎりぎりまで防いでいたというわけです。
身の回りで見つけてみよう
- 朝、草の葉の上でキラキラ光る朝露は、みんな丸い水滴です。
- 水道の蛇口からポタポタ落ちる水も、落ちる瞬間は丸くなっています。
- 水の上をスイスイ歩くアメンボは、この表面張力をうまく利用して、水に沈まずにいるのです。
大人の方へ
子どもが水滴を数える間、「今、水滴はどんな風に見える?」「こぼれる瞬間はどうなると思う?」と問いかけ、観察を促してください。予想と違う結果が出たら、「どうしてだと思う?」と一緒に理由を考え、表面張力の説明へとつなげましょう。失敗(こぼしてしまった)も、「どこが難しかった?」と振り返る良い機会です。
実験2:カラフル水の層作り~密度と浮力のふしぎ~
準備するもの
- 透明な細長いグラスやコップ(できれば背の高いもの) 1個
- 水
- 砂糖 大さじ5杯程度
- 食紅(赤、青、黄など、好きな色)2~3色
- 計量スプーン
- 小さなコップやカップ 3~4個(色水を作る用)
- スプーン
- スポイト(あると便利)
- 実験ノート、ペン
予想してみよう!
実験ノートに、「実験2:色水の層作り」と書きます。
砂糖をたっぷり溶かした濃い色水と、砂糖をまったく入れない薄い色水を、同じコップに注いだら、どうなるでしょう? 「混ざって中間の色になる」「砂糖水が下に沈む」「砂糖水が上に浮く」? 予想を立ててみてください。
実験スタート!
(注意:この実験は、ゆっくり、ていねいに行うことが成功のコツです。急がないで!)
1. 小さなコップを3つ用意します。それぞれに、水を同じ量(例えばコップの1/3くらい)ずつ入れます。
2. 1つ目のコップには、食紅で赤色をつけます。ここには砂糖を入れません。これが「普通の水(密度が小さい水)」です。
3. 2つ目のコップにも水を入れ、食紅で黄色(赤と青を混ぜて緑でもOK)をつけます。ここに、砂糖を大さじ2杯入れ、スプーンでよくかき混ぜて完全に溶かします。これが「少し濃い砂糖水(密度が中くらいの水)」です。
4. 3つ目のコップにも水を入れ、食紅で青色をつけます。ここに、砂糖を大さじ3杯以上入れ、よく溶かします。できるだけたくさん溶かしましょう。これが「とても濃い砂糖水(密度が大きい水)」です。
5. ここからが本番です。背の高い透明なグラスを用意します。
6. スポイトがある場合:まず、一番濃い青色の砂糖水をスポイトで吸い、グラスの底に、そっとゆっくりと流し入れます。グラスの壁を伝わせるように入れると、乱れにくいです。
7. 次に、黄色の砂糖水をスポイトで吸います。青色の水の上に、スプーンの背をグラスの壁に当て、その上から黄色の水をそっと注ぎます。こうすると、下の水をかき乱さずに、上に層を作ることができます。
8. 最後に、砂糖なしの赤い水を、同じようにスプーンの背を使って、一番上にそっと注ぎます。
9. スポイトがない場合:スプーンの背を使う方法がより重要です。濃い青色の砂糖水を、スプーンを使ってグラスの底にゆっくり注ぎます。その後、黄色→赤の順番で、必ずスプーンの背を伝わせて、上から注いでいきます。
成功すると…グラスの中に、赤、黄、青のきれいな3層ができあがります! まるでカラフルなジェリービーンズや、レインボーのように見えませんか?
結果と観察
- 実験は成功しましたか? 何層できましたか?
- 色の順番は、上からどうなっていますか? (おそらく、上から赤→黄→青ですね)
- 層と層の境目は、はっきりしていますか? それとも、少し混ざり合っていますか?
- グラスを横から軽くトントンと叩いたり、ゆっくり傾けたりすると(こぼさないように!)、層はどうなりますか?
科学のとびら:密度と浮力のひみつ
なぜ、色水は混ざらずに層になるのでしょうか? キーワードは密度です。
密度とは、「もののつまりぐあい」を表すことばです。同じ大きさ(体積)でも、重いものは密度が大きく、軽いものは密度が小さいと言います。
この実験では、水に砂糖を溶かしました。砂糖は水の中にしっかりと溶け込み、分子レベルで混ざり合います。すると、砂糖の分子も加わるので、コップ一杯の重さが増えます。体積はほとんど変わらないのに、重くなるということは…? そうです、密度が大きくなるのです。
- 砂糖をたくさん溶かした青色の水:密度が一番大きい
- 砂糖を少し溶かした黄色の水:密度が中くらい
- 砂糖を溶かしていない赤い水:密度が一番小さい
ここで、浮力の考え方が出てきます。密度が大きい(重いつまりぐあいの)ものは沈み、密度が小さい(軽いつまりぐあいの)ものは浮く傾向があります。お風呂で、体を丸めると沈み、大の字になると浮きやすいのと同じです。
グラスの中で、密度が一番大きい青色の水は、他のどの水よりも「重いつまりぐあい」なので、一番下に沈みます。密度が中くらいの黄色の水は、青色の水よりは軽いつまりぐあいなので、その上に浮かびます。密度が一番小さい赤い水は、すべての水より軽いつまりぐあいなので、一番上に浮かぶのです。このように、密度の違いによって、液体が層を作ることを密度成層といいます。
もっと深く学ぼう:乱流(らんりゅう)のひみつ
実験で、色水を勢いよく注いでしまったり、グラスを揺らしたりすると、層が混ざってしまいますね。これは「乱流」という現象が起こっているからです。乱流とは、水や空気などの流れが激しく乱れ、渦(うず)を巻いている状態です。川の流れが岩にぶつかって白い泡立つところや、飛行機の翼の後ろにできる空気の渦も乱流です。科学者やエンジニアは、この乱流を研究して、より燃費の良い車や、揺れにくい飛行機を作っています。あなたの実験で層が混ざってしまったら、それは「乱流」という大きな自然の力を、小さなコップの中で見つけた証拠です!
身の回りで見つけてみよう
- 海と川の水が混ざり合う河口(かこう)では、塩分濃度(密度)の違いで、少しずつ層ができていることがあります。
- 重い油が水の上に浮くのは、油の密度が水より小さいからです(第3章でやりましたね!)。
- 潜水艦は、タンクに海水(密度大)や空気(密度小)を出し入れして密度を変え、沈んだり浮かんだりします。
大人の方へ
「スプーンの背を使う」というテクニックは、子どもには少し難しいかもしれません。最初は大人が手本を見せ、成功の喜びを味わわせてあげてください。「なぜゆっくり入れないといけないの?」と問いかけてみましょう。もし層が混ざってしまったら、「どうして混ざったと思う?」と一緒に考え、上記の「乱流」の話につなげることで、失敗も貴重な学びの機会に変えられます。
実験3:紙の木をよじ登る水~毛細管現象のマジック~
準備するもの
- コーヒーフィルターやキッチンペーパー(吸水性の良い薄い紙) 2枚
- 水性ペン(黒、青、緑など数色。油性ペンではダメです)※必ず大人と確認を
- 水
- お皿や浅いトレイ 2枚
- 割りばしやえんぴつ(紙を吊るす用)
- 洗面器やコップ(割りばしを渡す台に)
- クリップ(あると便利)
- 実験ノート、ペン
予想してみよう!
「実験3:紙を登る水」とノートに書きます。
吸水性の良い紙の端を水にちょっとつけると、水は紙の上をどのように動いていくでしょうか? 「じわーっと広がる」「上にも横にも広がる」「色がついていたら、色も一緒に動く?」予想を描いたり、書いたりしてみましょう。
実験スタート!
パートA:色のぼうけん
1. コーヒーフィルターを1枚広げ、平らな場所に置きます。
2. フィルターの中心から2~3cmくらい離れたところに、水性ペンで大きなドット(点) を描きます。1色でもいいし、2~3色を隣り合わせに描いても面白いです。
3. お皿にほんの少し(5mmくらいの深さ)水を入れます。
4. フィルターの中心(ドットを描いていない真ん中の部分)を、水にちょんと軽く触れさせます。紙全体を水に浸けず、中心が少し湿る程度です。
5. そのままじっと観察します。30秒、1分、2分…。水はどう動いていますか? ドットの色はどうなりましたか?
パートB:紙の木
1. もう1枚のコーヒーフィルターやキッチンペーパーを、木の形に切ります。まず、長方形に切り、上部に切り込みを入れて葉っぱのようにしても素敵です。
2. その「紙の木」の幹や葉の部分に、水性ペンで好きな色でまだらに色を塗ったり、ドットを描いたりします。幹の根元(一番下)は、水に浸けるので、あまり濃く塗りすぎないようにしましょう。
3. 洗面器やコップを2つ用意し、その上に割りばしを渡します(橋のようにします)。
4. 別のお皿に水を少し入れます。
5. 紙の木の根元(下端) を、そのお皿の水に浸けます。紙の上の端は、割りばしにクリップなどで軽く留めると安定します。紙が水にどっぷり浸からないように、根元だけがつかる程度がポイントです。
6. 水が紙をよじ登っていく様子を観察しましょう。色はどう動くでしょうか? パートAと同じように色が分かれるでしょうか? 時間をかけて、水が先端まで到達するのを見守りましょう。
結果と観察
- パートAで、水が中心から外側へ広がっていく様子はどうでしたか? 「じわじわ」「すーっと」?
- ドットの色は、どう変化しましたか? 「1色が何色にも分かれた!」「色の輪ができた」「思ったよりきれいだった」など。
- パートBでは、水は紙の木をどのくらいの速さで登りましたか? 登っていく水の先端(せんたん)は、どんな形をしていましたか?
- 色は、水と一緒に登りましたか? それとも、水の方が先に進みましたか? パートAと比べて、色の広がり方に違いはありましたか?
科学のとびら:毛細管現象のちから
紙の上を、水が重力に逆らって上ったり、横に広がったりするのはなぜでしょう? これには、2つの力が関係しています。
1つは、実験1でも出てきた水の分子同士が引き合う力(凝集力)です。もう1つは、水の分子と、紙を構成する「繊維(せんい)」の分子が引き合う力(付着力)です。
紙は、顕微鏡で見ると、無数の細い繊維が網の目のように絡み合っていて、その間にごくごく小さな隙間(すきま)がたくさんあります。この隙間は、毛細管(もうさいかん) または毛管と呼ばれます。
水がこの毛細管に触れると、紙の繊維と水の分子の間の付着力が、水分子同士の凝集力よりも強く働きます。すると、毛細管の壁(紙の繊維)に接している水が、壁に引き寄せられて上っていこうとします。その水が、仲間の水分子を凝集力で引っ張り、またその水が次の仲間を引っ張り…という連鎖が起こります。これが毛細管現象です。隙間が細ければ細いほど、この力は強く働きます。
色が分かれる(クロマトグラフィーという原理)のは、インクに含まれるいろいろな色素の分子が、紙と水へのなじみやすさ(親和性)が違うからです。紙に強くくっつきやすい色素はゆっくり進み、水と一緒に進みやすい色素は先に行きます。その結果、1色だったインクが、元々混ざっていた何色もの色素に分かれて見えるのです。
身の回りで見つけてみよう
- 植物が根から吸い上げた水や栄養が、茎や葉の先まで届くのは、体中に張り巡らされた細い管(道管)で毛細管現象が起きているからです。
- タオルで手や食器の水気を拭き取れるのも、タオルの無数の細かい繊維の隙間に水が吸い込まれる(毛細管現象で広がる)からです。
- 墨汁や絵の具がにじむのも、同じ原理です。
大人の方へ
「なぜ水は上に行けるの?」という子どもの問いには、「紙のすごく細いトンネルに、水が吸い寄せられているんだよ」とイメージしやすく説明しましょう。色が分離する様子はとても美しいので、観察そのものを楽しませてください。「この色は何色からできているんだろう?」と、インクのひみつに興味が広がるかもしれません。パートBで紙の木が水を吸い上げる様子は、まるで本物の木が水を吸っているようで、生命の科学への興味にもつながります。
実験4:水の変身~沸騰と凝固の温度をみつめよう~
(注意:この実験では、お湯を扱います。火や熱源を使う部分は、必ず大人が行ってください。子どもは安全な距離から観察し、温度計を読むお手伝いをしましょう。)
準備するもの
- やかんまたは小さな鍋
- 水
- 氷 たくさん(製氷皿1~2トレイ分)
- 食塩 大さじ3杯以上
- 大きめのボウル(氷用)
- 小さなガラス製の計量カップや耐熱性の小さなコップ(沸騰実験用)
- 料理用温度計(デジタル式が読みやすい)※無い場合は、お湯の様子を観察するのみでもOK
- ストップウォッチまたは時計
- 実験ノート、ペン
予想してみよう!
「実験4:水の温度変化」とノートに書きます。
水を火にかけて温めていくと、どうなっていくでしょうか? やがて沸騰しますが、その時の温度は何度だと思いますか? また、氷に塩を混ぜたもので水を冷やすと、水はどうなるでしょう? 氷点下(0℃より低い温度)になると思いますか?
実験スタート!
パートA:沸騰の観察(大人がメインで行います)
1. 大人が、やかんに水を入れ、コンロにかけます。火の周りに燃えやすいものを置かないように気をつけましょう。
2. 子どもは、温度計で水温を時々測り、ノートに「時間」と「温度」を記録する係です。火にかける前の水温も測りましょう。
3. 温め始めてから、1分ごと、または温度が10℃上がるごとに、記録していきます。
4. 水が温まってくると、やかんの底から小さな泡が立ち始めます。その時の温度は?
5. さらに温めると、泡が大きくなり、水面が揺れ動きます。そしてついに、水面から勢いよく大きな泡が立ち、ガラガラと音がして、湯気が激しく立ち上ります。これが沸騰です。
6. 沸騰が始まった時の温度を、しっかり記録しましょう。その後も温度は変わらないか、少し測り続けてみます。
パートB:氷と塩で冷やそう(子どもも一緒にできます)
1. 大きめのボウルに、氷をたっぷり入れます。
2. 氷の上に、食塩をまんべんなくふりかけ、少し混ぜます。
3. 小さな計量カップに水を少し(2~3cmの深さ)入れ、温度計で水温を測って記録します。
4. その計量カップを、氷と塩の山の中に埋めるように入れます。
5. 1分後、2分後…と、水温がどう下がっていくか記録します。
6. 水温が0℃近くまで下がったら、水の様子をよく観察します。どうなりますか? 氷(氷の結晶)ができ始めるかもしれません。
結果と観察
- パートA:沸騰が始まった温度は何度でしたか? 沸騰後、温度は変化しましたか?
- 沸騰するまでの間、水の様子(泡の出方、湯気の量、音)はどう変わっていきましたか?
- パートB:氷と塩で冷やした水の温度は、最低で何度まで下がりましたか?
- 水は凍り始めましたか? 凍るとき、水はどんな風に変化していきましたか?
科学のとびら:状態変化と温度の関係
水には、固体(氷)・液体(水)・気体(水蒸気) という3つの状態があります。温度によって、この状態が変わることを状態変化といいます。
- 沸騰:液体の水が、気体の水蒸気に激しく変わる現象です。この変化が起こる決まった温度を沸点といいます。ふつう、水の沸点は100℃です(正確には気圧で変わります)。沸騰が始まると、加える熱エネルギーは、水を温めるためではなく、液体から気体に変える仕事(気化熱)に使われるため、温度は100℃で一定に保たれます。
- 凝固:液体の水が、固体の氷に変わる現象です。この変化が起こる温度を凝固点といいます。純粋な水の凝固点は0℃です。
パートBの「氷に塩」は、とても重要な科学のテクニックです。氷が溶けるときには、周りから熱エネルギーを奪います(融解熱)。そこに塩を加えると、氷の表面で塩水ができ、その塩水は純粋な水よりも凝固点が低い(0℃以下でないと凍らない)性質があります。そのため、氷はより速く溶けようとし、より多くの熱を周りから奪います。結果として、氷と塩の混合物は、0℃よりずっと低い温度(マイナス10℃~20℃近くまで)になるのです。この原理は、かき氷を作る時や、寒冷地の凍結防止剤としても使われています。
身の回りで見つけてみよう
- お風呂の湯気は、沸騰していなくても、水面から蒸発した水蒸気が冷えて小さな水滴になったもの(湯気)です。
- 冬の朝、窓ガラスにできる「結露」は、空気中の水蒸気が冷たいガラスで冷やされて液体の水に戻ったものです。
- アイスクリームを手作りする時、氷に塩をまぶして冷やすことがあります。
大人の方へ
火や熱源を使う実験は、安全について特に丁寧に説明し、見守ってください。温度の測定と記録は、子どもに任せ、科学者のような仕事を体験させましょう。「なぜ100℃で止まるの?」「氷に塩をかけると、触ってみてどう感じる?」と、感覚とデータを結びつける問いかけが有効です。
実験5:水の大循環を考えよう~地球の水の旅~
最後の実験は、実験室ではなく、頭の中と心で行う「考える実験」です。今まで見てきた水の性質が、大きな地球の営みの中で、どのように働いているのかを想像してみましょう。
準備するもの
やってみよう!
1. 実験ノートの新しいページに、「実験5:地球の水の旅」と書きます。
2. ページの真ん中に、海、川、山、雲、太陽を簡単に描いてみましょう。
3. 今まで学んだことを思い出しながら、次の矢印(→)の文章を完成させ、絵の中に書き加えたり、矢印でつないだりしてみてください。
- 太陽の熱で、海の水が温められると… → (蒸発) して水蒸気になる。
- 水蒸気が空高く上がり、冷えると… → 小さな水滴に(凝結) して雲ができる。
- 雲の中の水滴が大きくなり、重くなると… → (降水) として雨や雪となって地上に降る。
- 地上に降った雨は、地面にしみこんだり(地下水)、(表面張力) で丸い水滴になったり、(毛細管現象) で植物に吸い上げられたりする。
- 川に流れた水は、やがて密度の違いによる流れもありつつ、海へと帰っていく。
- 北極や南極、高い山では、水は0℃以下で(凝固) して氷河となる。
この水の大きな旅を水循環(すいじゅんかん) といいます。私たちが今日使った一滴の水は、もしかしたら恐竜時代に雨として降った水の分子かもしれない…そう考えると、とても不思議で、ロマンがあふれてきませんか?
科学のとびら:実験と地球のつながり
私たちが台所で行った小さな実験の一つ一つが、実は地球規模の大きな現象の「ミニチュア版」だったのです。
- コインの水滴は、雲の中の小さな水滴のモデル。
- 密度の層は、海の深い場所での水温や塩分の違いによる流れ(深層海流)のヒント。
- 毛細管現象は、植物が水を吸い上げ、大地が水を保つ仕組み。
- 沸騰と凝固は、水が姿を変えながら地球を旅する原動力。
科学は、特別な場所だけにあるのではありません。あなたの手元のコップの中の水にも、宇宙と地球の長い歴史と、自然の巧みな法則が詰まっているのです。
第4章のふりかえり
水のひみつ探検、いかがでしたか? 一見何でもない水が、実は強い力(表面張力)を持ち、重さの違い(密度)で層を作り、細い隙間を上り(毛細管現象)、温度で姿を変え(状態変化)、地球全体を循環していることが感じられたでしょうか。
実験がすべて成功しなくても大丈夫です。なぜそうなったのかを考えることが、次の発見への第一歩です。実験ノートに、うまくいったこと、いかなかったこと、驚いたこと、疑問に思ったことを、ぜんぶ書き留めておきましょう。それがあなただけの「科学発見ブック」になっていきます。
さて、次章では、私たちの身の回りにひそむ、もう一つの「力」に注目します。目には見えないけれど、ものを動かし、光や音を生み出す、そのパワーとは…? 第5章「音と光のマジック」で、さらにワクワクする科学の世界をのぞいてみましょう!
実験後の後片付け
さあ、楽しい実験も終わりました。立派な科学者になるためには、後片付けも大切な仕事の一部です。以下の手順で、きちんと片付けましょう。
1. 器具の洗浄:使ったコップ、計量カップ、スポイト、スプーン、温度計(先端を優しく)などを、食器用洗剤でよく洗い流します。食紅の色がついたものは、色が落ちるまで丁寧に洗いましょう。
2. 実験場所の清掃:机やシートにこぼれた水や砂糖、塩などがあれば、きれいに拭き取ります。
3. 材料の処理:
- 実験で使った色水(砂糖水を含む)は、すべて流しに捨てて構いません。大量の砂糖水の場合は、少しずつ流しましょう。
- 氷と塩の混合物は、流しに捨て、その後きれいに流します。
- 紙の木やコーヒーフィルターは、乾かしてから普通のゴミとして捨てましょう(自治体の分別ルールに従ってください)。
- 金属製の温度計などは、水気をふき取って元の場所に戻します。
4. 手を洗う:実験が終わったら、必ず石鹸で手をきれいに洗いましょう。
きれいに片付いた実験台を見ると、気分もすっきり! 次に実験する時の準備