販売先は、手数料だけでなく「読者がどこで読むか」「同じ電子版を複数の場所に置くか」「EPUB・PDF・Web記事のどれを届けるか」で選びます。既にnoteやブログに読者がいる場合は、その原稿を本にまとめ、購入後の読み方まで決めてから販売先を増やすと準備を整理できます。

以下は2026年10月4日に各社の公式資料を確認した比較です。割合の計算対象、税、固定手数料、支払い手数料が異なるため、表示された「70%」と「85%」だけで利益の順位は決まりません。販売先への掲載や売上を保証するものではありません。

6つの販売先を用途で比較

電子版の販売方法と料金を決める条件
販売先読者へ届けるもの料金・分配の確認点
Amazon KDPKindle電子書籍。紙の本は別の入稿35%または条件付き70%。税・配信コスト・販売地域を確認
楽天Kobo Writing LifeKoboストアの電子書籍オリジナル作品は税抜価格と価格帯に応じ45%または70%
Apple BooksApple Booksの電子書籍電子書籍は価格帯にかかわらず70%。販売地域・税・支払い条件はアカウントで確認
Google Play BooksEPUBまたはPDFで読む電子書籍地域・利用規約への同意などによる52%/70%。日本を一律70%と扱わない
note有料記事・マガジンなどのWebコンテンツ購入者の決済方法による事務手数料+残額に対する利用料。振込料は別
BOOTHPDF・EPUBなどのダウンロード商品ダウンロード商品は1注文につき5.6%+45円。振込等は別条件

Amazon KDP:Kindleと紙の本を作る

Kindleのストアで読める電子版を出版し、必要ならペーパーバックを別に作れます。電子書籍と紙の本は、ファイル・表紙・料金の計算方法が異なります。ストアに掲載されることだけで販売数が増えるとは限らず、説明文や読者への案内も必要です。

電子版の70%は税抜価格から配信コストを引いた額に70%を掛ける計算です。日本の読者への販売ではKDP Selectへの登録も条件になり、日本円の70%価格帯は250〜1,650円です。35%は税抜価格を基準とし、配信コストは引かれません。価格やファイルサイズの条件は、公式の価格要件とロイヤリティ計算で確認できます。

例として、税込500円・消費税10%・KDPで算定される配信コスト5円・70%の条件を満たす販売なら、(500 ÷ 1.1 − 5)× 0.70 ≒ 315円です。源泉税、価格調整、返金などはこの例に含めていません。ファイルサイズを直接5MBと仮定するより、アップロード後のKDP表示で配信コストを確認してください。

KDP Selectは90日間の電子版の独占配信を伴います。同じ電子版をnote、BOOTH、自分のサイト、ニュースレターで販売・無料配布する計画とは両立条件を確認する必要があります。単に90日が過ぎればよいとは限らず、自動更新の状態も確認します。紙版の扱いと電子版を分けて判断してください。KDP Select公式説明/登録・入稿の手順

楽天Kobo:税抜価格と作品の区分を確認

Kobo Writing Lifeの公式説明では、オリジナル電子書籍の日本円価格は税抜299円以上で70%、それ未満は45%です。パブリックドメイン作品には別の分配条件があるため、全作品をこの割合で計算しないでください。公式の分配率/日本向け契約の価格条件

オリジナル作品の税抜価格500円を計算の基礎にするなら、70%の例は350円です。税込500円の販売とは基準が違います。KDP Selectで同じ電子版を独占配信中なら、Koboへ同時に置く前に独占期間と更新を確認します。

Apple Books:価格帯にかかわらず電子版70%

Appleは電子書籍について価格帯にかかわらず70%のロイヤリティを案内しています。これは税込小売価格の70%が必ず振り込まれるという意味ではありません。販売地域、価格、税、実際の支払い条件は出版アカウントで確認します。Apple Books公式のロイヤリティ説明

読者がApple Booksを使っているなら候補になります。EPUBを作った後も、画像・目次・改ページをプレビューし、各ストアの要件に従って入稿してください。EPUBの拡張子が同じでも、全ストアで審査を通る保証にはなりません。

Google Play Books:70%は価格の高さだけで決まらない

70%の収益分配は、更新された利用規約に同意したパートナーが対象地域で販売するなどの条件によります。公式FAQは価格帯による旧制限が廃止されたと説明しています。日本はその70%対象地域の一覧には含まれず、現在のアカウントの分配率が適用される地域として挙げられています。

そのため、日本での販売を一律70%と計算せず、Partner Centerの価格欄にある実効価格の表で国ごとの割合を確認してください。EPUBとPDFは読み方が違うため、文字を拡大して読みたい本はEPUB、紙面の配置を残したい本はPDFを検討します。Google公式の収益分配FAQ

note:記事として届ける場合の手数料

noteの有料記事・有料マガジン・チップ・メンバーシップでは、売上から購入者の決済方法に応じた事務手数料を引き、その残額に10%のプラットフォーム利用料が掛かります。定期購読マガジンの利用料は20%です。「プレミアムなら販売手数料がゼロ」とは扱いません。振込手数料270円は1回の振込ごとに別途掛かります。note公式の手数料と計算例

有料記事1,000円をクレジットカードで購入された例では、事務手数料50円、利用料95円、残額855円です。これは振込前の残額で、1件だけ振り込むならさらに270円が引かれます。携帯キャリア・PayPayなどでは事務手数料が変わるため、この金額を全決済に当てはめないでください。

noteの記事として読む体験と、EPUBを端末へ入れて読む体験は別です。noteの発信を本にまとめたい場合は、権利を確認した自分の記事を整理し、章の順番と重複を直します。note記事を本にする実際の取り込み・変換手順で、公開記事と下書き、画像や埋め込みの扱いを確認できます。

BOOTH:固定45円を含めて計算する

ダウンロード商品のサービス利用料は、1注文につき5.6%+45円です。固定額は2025年10月28日に22円から45円へ改定されました。小数点以下は切り上げます。BOOTH公式の改定告知

ダウンロード商品1,000円の注文なら、利用料は56+45=101円、残額899円です。500円なら28+45=73円、残額427円になります。振込等の条件、返金、税や制作費は含めていません。固定額があるため、全価格で一律94%が残るという表示は不正確です。

BOOTHでPDFやEPUBのダウンロード商品を売る場合は、商品説明にファイル形式と読み方を記し、購入後に迷わない案内を同梱します。売る側がEPUBリーダーで開けることを確認し、紙面の配置を重視する本にはPDFの見本も用意すると判断材料になります。

手数料の比較より先に決める3つのこと

  1. 同じ電子版を複数の場所に置くか。 noteや自分のサイトで引き続き全文を公開したいなら、KDP Selectの独占条件を最初に確認します。
  2. 読者にどの読み方を届けるか。 ストアの読書アプリ、Web記事、ダウンロードファイルを分け、読者が利用できる端末で試します。
  3. 何を利益と数えるか。 分配計算の基礎価格、税、配信コスト、固定手数料、振込料、制作費を分けて記録します。販売数も計測し、手数料率だけで販売先を順位付けしません。

既存の原稿から販売用ファイルを準備する

DraftZeroの無料の原稿ツールでは、自分の文章を貼り付けたり対応するファイルから取り込み、章を整理してEPUB・PDFへ変換できます。基本の変換で原稿の言い回しをAIが書き換えることはありません。AIで肉付けする操作は自分で選択します。

出力後は目次・段落・画像・原稿の抜けを実ファイルで照合してください。KDP用の本文と表紙、紙の本のページ数、各ストアの権利・AI申告・ファイル条件は、それぞれ確認が必要です。原稿とEPUB・PDFの実出力サンプルも閲覧できます。