Kindle本の価格は、読者が払う金額と、著者に残るロイヤリティを分けて考えます。同じ販売価格でも、購入者の地域、適用税額、配信コスト、KDP Selectへの登録条件で受取額が変わります。まずKDPの価格設定画面で見込みロイヤリティを確認し、その後に価格を試す順序がおすすめです。
35%と70%の条件を先に確認する
| 条件 | 35%オプション | 70%オプション |
|---|---|---|
| Amazon.co.jpの価格帯 | 99〜20,000円 | 250〜1,650円 |
| 配信コスト | 差し引かれない | 原則として計算対象 |
| 日本の購入者への販売 | 価格等の条件を満たすこと | 価格等の条件に加えKDP Selectへの登録が必要 |
価格だけで70%になるとは限りません。紙版がある場合の価格差など、ほかの適用条件もあります。KDP公式の価格帯と価格設定・適用条件を確認してください。米国では2026年7月7日から70%の上限が12.99ドルになっています。日本円の条件を米ドルの本に当てはめないようにします。
KDP Selectには電子版の独占配信条件があります。note、ブログ、ニュースレターなどにも同じ内容を公開している方は、登録前に公開範囲を確認してください。Selectに登録せず出版する選択肢もあります。公式の独占配信条件を確認し、判断が難しい場合はKDPへ問い合わせます。
ロイヤリティの正しい計算順序
35%:0.35 ×(価格 − 適用税額)
70%:0.70 ×(価格 − 適用税額 − 配信コスト)
70%では、配信コストを引いた残額に0.70を掛けます。「価格 × 0.70 − 配信コスト」ではありません。プライスマッチ等で販売価格が変わる場合は、計算の基礎も変わります。出典:電子書籍のロイヤリティ。
条件を明記した計算例
次の表は、価格に10%の税額が含まれる、配信コストは2円、プライスマッチなしと仮定した算術例です。70%の行はすべての適用条件を満たすものと仮定しています。実際の税額や販売数、手取り額の予測ではありません。端数を四捨五入しています。
| 価格 | 35%の計算例 | 70%の計算例 |
|---|---|---|
| 99円 | 約32円 | 日本の通常価格帯の対象外 |
| 500円 | 約159円 | 約317円 |
| 1,650円 | 約525円 | 約1,049円 |
| 1,800円 | 約573円 | 日本の通常価格帯の対象外 |
たとえば500円の70%の行は、0.70 ×(500 ÷ 1.10 − 2)≒316.78円です。自分の本では、KDPが表示する税額・配信ファイルサイズ・見込みロイヤリティを使って確かめてください。
画像が多い本の配信コスト
JPYでの配信単価は1円/MB、最低1円です。ただし10MB以上の本をJPYで販売する場合は配信コストを差し引かないという例外があります。大きな画像だから必ず不利、とは判断できません。米国の0.15ドル/MBなど、別の販売通貨の条件も分けて確認します。出典:KDP公式の配信コスト。
価格を試すときに記録すること
ジャンルごとの「最適価格」を一律には決められません。販売実績がない段階では、同じ読者層・内容・長さの本を比較し、試す価格と理由を一つ決めます。価格を変えたら、期間、販売数、ロイヤリティ、広告費を記録し、売上だけでなく費用を差し引いた額で比較します。
- 比較する本の内容、分量、読者、販売通貨を揃える。
- KDPの画面で価格とロイヤリティ条件を確認する。
- 価格、表紙、広告を同時に変えず、比較する要因を絞る。
- 十分な閲覧・販売数がない場合は、価格の効果を断定しない。
99円は1冊あたりの受取額が小さくなる選択です。値下げだけでレビューや次巻購入が増える保証はありません。シリーズの入口として試す場合も、後続巻の販売まで記録して判断します。
Kindle Unlimitedとキャンペーンは別に考える
KUの報酬は、通常購入の価格にロイヤリティ率を掛ける方式ではありません。初めて読まれたKENPと月ごとの基金に基づきます。画面やPDFのページ数をそのままKENPとして扱わず、固定の「1ページ何円」や一律の売上比率で利益を予測しないようにします。出典:Kindle Unlimitedのロイヤリティ。
Kindle Countdown DealsはAmazon.comとAmazon.co.ukが対象で、Amazon.co.jpでは使えません。日本円での値下げと、対象ストアでのCountdown Dealsを混同しないでください。出典:公式のキャンペーン条件。
制作費と売上を混ぜない
固定費を回収する販売数は、固定費 ÷ 1冊あたりの収益で考えます。たとえば制作費13万円、1冊あたりの収益が仮に348円なら、130,000 ÷ 348 ≒373.6なので、少なくとも374冊が必要です。広告費などが増えれば必要冊数も変わります。
DraftZeroの基本EPUB・PDF変換は無料です。AI初稿作成や出版準備パックにはポイントを使い、確認・編集の時間や印刷・送料も別に考える必要があります。「使えば出版コストがゼロ」「1冊目から必ず純利益」とは言えません。料金と条件を確認し、今ある原稿の無料変換から準備できます。
確認日:2026年10月4日。制度と見込み金額は、出版時にもKDPの公式画面で確認してください。