自分の歩みを、子どもや孫、一緒に働いてきた人たちに残しておきたい。そう思っても、「何から書けばいいのか分からない」「文章に自信がない」と手が止まる人がほとんどです。自分史は、上手な文章より、あなたにしか書けない具体的な出来事に価値があります。この記事では、書き始め方から、まとめ方、実名への配慮、そして一冊の本にして配るまでを順に説明します。
1. 誰に読んでもらうかを決める
最初に決めるのは、内容より読者です。読者によって、書く出来事も言葉づかいも変わります。
- 子どもや孫:自分が生まれる前の家族の姿、故郷の暮らし、若いころの失敗と、そこから学んだこと。
- 仕事でお世話になった人:仕事を始めた経緯、転機になった出来事、仕事を通して大事にしてきた考え。
- 自分自身:これまでを振り返って整理するための記録。人に見せる前提がないぶん、率直に書けます。
2. 年表を作る
いきなり文章を書き始めるより、年表を作るほうが楽に進みます。紙でも表計算ソフトでもかまいません。左に年、真ん中に自分の出来事、右に社会の出来事(大きなニュース、流行、物価など)を並べると、忘れていた記憶がつられて出てきます。
アルバム、手紙、日記、卒業文集、昔の手帳、給与明細など、手元に残っている資料を年表の横に集めておくと、年号や地名を正確に書けます。
3. テーマを絞る
生まれてから今までの全部を書こうとすると、ほとんどの人が途中で止まります。一冊に一つのテーマを決めるのが、書き上げるための近道です。
- 仕事と転機
- 家族と、家族が乗り越えてきたこと
- 故郷と、そこでの暮らし
- 病気や介護など、大きな出来事を通して考えたこと
年表のうち、そのテーマに関わる出来事だけに印をつけると、それがそのまま章立ての候補になります。
4. 思い出を引き出す質問
何を書けばいいか分からないときは、自分に質問して、答えを書くことから始めます。
- 子どものころに住んでいた家は、どんな間取りでしたか。台所からは何が見えましたか。
- 初めてもらった給料で、何を買いましたか。
- 人生でいちばん苦しかった時期はいつですか。どうやって乗り越えましたか。
- いちばん影響を受けた人は誰ですか。その人に言われて覚えている言葉はありますか。
- いま、家族にいちばん伝えておきたいことは何ですか。
DraftZeroの原稿を仕上げるには、自分史を書き始めるための質問を原稿欄にそのまま入れる機能があります。質問を自分の答えに書き換えていくだけで、原稿の下書きになります。
5. 読んでもらえる文章にするコツ
- 場面を一つ、具体的に書く:「苦労した」と書くより、「冬の朝5時、凍った道を自転車で新聞を配った」と書くほうが伝わります。
- 五感を入れる:におい、音、手ざわり、味。記憶は感覚と一緒によみがえります。
- 会話を入れる:覚えている言葉は、そのまま「」で書くと場面が生きます。
- 話し言葉でかまわない:書くのが苦手なら、スマートフォンに向かって話して録音し、文字起こしをもとに整える方法もあります。
- 年号と固有名詞は確かめる:家族が読んだときに「違う」と言われやすいのは、ここです。
6. 家族や知人の名前とプライバシー
自分史には、家族や知人が必ず登場します。配る範囲が家族だけでも、本はあとから人の手に渡ることがあります。
- 存命の人について、病気、借金、家族関係など踏み込んだことを書く場合は、事前に本人に読んでもらい、了承を得ます。
- 了承を得にくい場合は、名前を伏せる、仮名にする、その部分を省くことを考えます。
- 仕事の話では、取引先や元同僚の実名、社外秘にあたる内容を書かないよう注意します。
7. 本にする方法と費用
| 方法 | 向いている人 | 費用の考え方 |
|---|---|---|
| 自費出版の会社に依頼 | 取材・編集・デザインまで任せたい | まとまった費用がかかることが多い。見積もりで比較する |
| 原稿を自分で整えてネット印刷 | 家族や知人に数十部を配りたい | 部数とページ数しだい。印刷代だけで作れる |
| 電子書籍で共有・Kindleで公開 | 遠方の家族にも読んでほしい | KDPでの出版は無料 |
ネット印刷で作る場合は、印刷所に入稿する本文PDFが必要です。判型は、自分史ならA5が読みやすく、扱いやすいサイズです。作り方は印刷所に入稿する本文PDFの作り方で詳しく説明しています。
8. 部数と配り方
最初は、配りたい人の数に少し余裕をもたせた部数で十分です。あとから「親戚にも渡したい」と言われることがよくあるので、原稿のデータ(PDF)は必ず手元に保管しておきます。同じデータで、いつでも追加で印刷できます。手渡すときに、一言メッセージを書いたしおりを挟むと喜ばれます。
DraftZeroで自分史を一冊にする
- 原稿を仕上げるで、自分史用の質問を原稿欄に入れ、答えを書いていく(登録不要・無料)
- 書いた原稿を貼り付け、判型(A5など)を選んで、ページ番号付きのPDFと電子書籍(EPUB)を作る
- もっと肉付けしたい場合は、本棚に保存して、原文を残したままAIに加筆案を出してもらう
- PDFを印刷所に入稿するか、EPUBで家族に共有する
自分史づくりの進め方は、自分史・家族の本のページにもまとめています。
よくある質問
文章を書くのが苦手でも作れますか?
作れます。質問に短く答えていく、スマートフォンに話して録音し文字起こしする、家族に聞き手になってもらう、といった方法があります。上手な文章より、具体的な出来事のほうが読む人の心に残ります。
どのくらいの分量があればいいですか?
決まりはありません。家族に配る冊子なら、数十ページでも十分な一冊になります。まず一つのテーマで書き上げ、足りなければ続編として別の冊子にする方法もあります。
書き上げるまで、どのくらいかかりますか?
人によって大きく違いますが、週に1〜2場面ずつ書けば、数か月で一冊分の原稿になることが多いです。年表とテーマを先に決めておくと、途中で止まりにくくなります。
亡くなった親の歩みを、自分史のようにまとめられますか?
まとめられます。本人の話は聞けないので、家族や親戚、昔の知人への聞き取り、手紙や写真、日記などの資料をもとに書きます。記憶が人によって違う部分は、そのことも含めて書いておくと、あとで読む家族にとって大切な記録になります。
費用はどのくらいかかりますか?
作り方で大きく変わります。取材から編集まで任せる自費出版は費用がかさみやすく、原稿を自分で整えてネット印刷に出す方法なら、部数とページ数に応じた印刷代が中心になります。複数の見積もりを比べて決めてください。
最終確認日: 2026年9月25日