自分史や記念誌、講座のテキスト、セミナーで配る小冊子。こうした本は、Amazonで販売するより、ネット印刷で必要な部数だけ作って手渡すほうが合っていることがあります。そのとき必要になるのが、印刷所に入稿する「本文PDF」です。この記事では、判型の選び方から、余白・フォント・塗り足し・ページ数の条件、表紙との分け方、入稿前のチェックまでを順に説明します。

いちばん大事なこと:入稿データのルールは、印刷所と綴じ方ごとに違います。この記事は一般的な考え方をまとめたものです。作り始める前に、使う印刷所の「入稿ガイド」を必ず読んでください。

1. 最初に印刷所の入稿ガイドで確認すること

たとえばラクスルの無線綴じ冊子は、執筆時点でA4・A5・B5・B6に対応し、16ページ前後から作れます。条件は変わることがあるので、必ず最新の案内を確認してください。

2. 判型を選ぶ

判型仕上がりサイズ向いている本
A5148 × 210 mm自分史・記念誌・読み物全般。迷ったらこれ
B6128 × 182 mmエッセイ・小説など、持ち歩いて読む本
B5182 × 257 mm講座テキスト・図表の多い資料
A4210 × 297 mm写真集・大きな図版を見せる資料

判型は最初に決めてから、本文を組みます。途中で変えると改ページがすべてずれ、ページ数も変わります。

3. 余白と「ノド」を決める

本を開いたときに綴じ側になる内側の余白を「ノド」、外側を「小口(こぐち)」と呼びます。無線綴じの本は根元まで大きく開かないので、ノドを外側より広めにとらないと、綴じ側の文字が読みにくくなります。ページ数が多く、本が厚くなるほど、ノドを広くします。

余白の具体的な数値は、印刷所の推奨値に従うのが確実です。文字を仕上がり線ぎりぎりまで置くと、断裁のずれで切れることがあります。本文やページ番号(ノンブル)は、仕上がり線から数mm以上内側に収めます。

4. 文字の大きさと行間

A5の読み物なら、本文は9〜10.5ポイント前後、行間は文字の大きさの1.5〜1.8倍くらいが読みやすい範囲です。年配の読者が多い自分史や記念誌では、少し大きめにすると喜ばれます。見本を1〜2ページ印刷して、実際の大きさで確かめるのがいちばんです。

5. フォントをPDFに埋め込む

PDFにフォントが埋め込まれていないと、印刷所のパソコンで別のフォントに置き換わり、文字化けやレイアウトの崩れが起きます。PDFを書き出すときは、フォントを埋め込む設定にします。印刷所によっては、文字を図形に変換する「アウトライン化」を求める場合もあります。

6. 塗り足しを理解する

写真や色の帯を紙の端まで印刷したい場合は、仕上がりサイズより上下左右に3mmずつ大きく画像を伸ばしておきます。これが「塗り足し」です。断裁が少しずれても、白いすき間が出ません。

文字だけの本文なら、塗り足しは不要なことが多いです。ただし印刷所によっては、文字だけでも塗り足し込みのページサイズで入稿するよう指定している場合があります。ここも入稿ガイドで確認してください。

7. 画像の解像度

写真は、本に載せる実際の大きさで300〜350dpiあると、きれいに印刷されます。最近のスマートフォンで撮った写真は、そのままの大きさで使うなら足りることが多いです。小さな画像を引き伸ばすと粗くなるので注意してください。本文をモノクロで刷る場合、カラー写真は白黒になったときの見え方も確かめておきます。

8. 表紙は別のファイルにする

本文と表紙は、別々のデータとして入稿するのが一般的です。無線綴じの表紙は、表表紙・背表紙・裏表紙が一枚につながっていて、背の幅は本文のページ数と紙の厚さで決まります。本文のページ数を確定させてから、印刷所の背幅計算ツールなどで幅を出し、最後に表紙を作ります。

9. 入稿前のチェックリスト

DraftZeroで本文PDFを作る

DraftZeroの原稿を仕上げるでは、原稿を貼り付けて判型(A5・B6・B5・A4・6×9インチなど)を選ぶだけで、章立てとページ番号を整えた本文PDFを無料で作れます。フォントは埋め込み済みです。

いくつか、あらかじめ知っておいてほしい点があります。

自分史の原稿づくりから始める場合は自分史の書き方、noteの記事をまとめる場合はnoteの記事を本にする方法も参考にしてください。Amazonで紙の本を販売する場合は、KDPペーパーバック出版ガイドが別にあります。

よくある質問

WordでPDFに書き出したファイルで入稿できますか?

多くの印刷所で入稿できます。書き出すときに、ページサイズが仕上がりサイズ(または塗り足し込みのサイズ)になっているか、フォントが埋め込まれているかを確認してください。印刷所によっては、Word専用の入稿方法や注意点を案内しています。

ページ数が条件に足りない、倍数にならないときは?

白紙ページを入れるほか、扉(章の区切りのページ)、目次、あとがき、奥付などで調整するのが一般的です。本文を無理に引き延ばすより、自然に読めます。

奥付は必要ですか?

法律上の義務はありませんが、書名・著者名・発行日などを入れておくと、配ったあとに役立ちます。連絡先を載せる場合は、公開してよい範囲の情報にとどめてください。

何部から作れますか?

少ない部数から受け付けるネット印刷も多くあります。部数が多いときは、先に1部だけ見本として刷り、文字の大きさや余白、写真の写りを確かめてから本番を注文すると、失敗を防げます。

カラー写真をモノクロの本文に入れても大丈夫ですか?

入れられますが、白黒になると明るさの差が小さい写真は見分けにくくなります。入稿前に、写真をグレースケールにして見え方を確認してください。

最終確認日: 2026年9月25日(入稿条件は印刷所ごとに異なり、変更される場合があります)