同人誌を電子書籍化するときは、まず手元の原稿が「文字中心」か「ページ画像中心」かを確認します。小説や評論は、文字サイズを読者が変えられるEPUB。漫画やスキャンした本は、ページの配置を保つPDFや固定レイアウトが向いています。形式を選んでから作業すると、作り直しを減らせます。

小説・評論のテキスト原稿がある方へ
DraftZeroの無料ツールでは、原稿を貼り付けて目次付きEPUB・横書きPDFに変換できます。基本変換は登録不要で、AIによる本文の書き換えも行いません。漫画の画像一式やスキャンPDFを固定レイアウトEPUBにする機能、OCRはありません。

原稿を無料でEPUBにする

原稿に合わせてEPUB・PDFを選ぶ

同人誌の原稿と電子化の進め方
手元の原稿形式の目安最初にすること
小説・評論のテキストリフロー型EPUB章見出しと段落を整える
漫画・イラストのページ画像PDF/固定レイアウトページ順と画像の読みやすさを確認
紙の本だけがあるスキャンPDF、文字中心ならOCR後にEPUB権利を確認してスキャン・校正

EPUBのリフロー型は画面に合わせて文字が流れるため、紙の本と同じページ数にはなりません。見開きやコマ割りを保ちたい漫画は、画像を中心にした作り方を選びます。PDFをそのままKindleに登録できるとは限りません。日本語Kindle電子書籍の原稿形式は、後述のKDP公式情報を確認してください。

小説・評論を無料でEPUBにする5つの手順

1. 本文と章見出しを準備する

Wordなどの原稿から本文をコピーします。章の前に「## 」を付けると、ツールで章を区切れます。次の例を置き換えて使えます。

# 星を探す夜

## 第一章 出発

ここに第一章の本文を入れます。

## 第二章 約束

ここに第二章の本文を入れます。

紙面用のページ番号、柱、繰り返しのヘッダーは本文から除きます。貼り付け後に段落や引用が意図どおりかも確認してください。

2. 無料ツールへ貼り付ける

無料の原稿変換ツールを開き、原稿テキスト欄に貼り付けます。書籍タイトル・著者名を入力し、章の解析後に章数と目次を確認します。公開note記事の取り込みにも対応しています。

3. EPUBの縦書き・横書きを選ぶ

EPUBは縦書き・横書きを選べます。小説は縦書き、英数字やURLの多い評論は横書きなど、読者の読みやすさで決めましょう。PDF出力は横書きです。A5などのページサイズはPDFの用途に合わせて選びます。

4. プレビューを確認してダウンロードする

目次、章の順序、本文の抜けを確認してEPUBをダウンロードします。PDFが必要なら別に出力できます。無料変換は本文をAIで書き換えません。保存・編集やAI表紙を使う出版準備パックは、登録後のポイント利用となる別の機能です。

5. 販売先のプレビューで最終確認する

Kindle向けはKindle Previewerなどで実際の表示を確認します。文字サイズを変え、目次から章へ移動し、ルビ・記号・画像・リンクを点検します。ツール上のプレビューだけで販売用ファイルの確認を終えないことが大切です。

漫画・スキャンした同人誌を電子化する場合

デジタル作画の元データがあれば、作画ソフトからページ順に画像やPDFを書き出します。紙の本だけなら、スキャン後に傾き、見切れ、裏写り、余白を直します。小さなスマートフォン画面でもセリフが読めるか確認してください。

ページの順序を保ったPDFはダウンロード販売の候補になります。Kindleで漫画として出す場合は、販売先に対応する固定レイアウトの制作手順が別途必要です。DraftZeroの無料テキスト変換ツールに画像を貼るだけで、漫画向けのコマ割りや見開き設定まで完成するわけではありません。

文字中心の紙の本をEPUBにしたい場合は、OCRで文字を抽出した後、原本と照合して誤字・段落・ルビを直します。OCRによる取り違えを残したまま販売しないようにしましょう。

BOOTH・DLsite・KDPの販売先を選ぶ

BOOTH:既存の読者にダウンロード版を案内する

BOOTHではダウンロード商品の形で頒布できます。PDF・EPUBなど、読者が使える形式と対応アプリを商品説明に記載します。サンプル、収録内容、ページ数または文字数、紙版との違いも分かるようにしてください。

2026年10月2日時点のダウンロード商品にかかるサービス利用料は、商品価格 × 5.6% + 45円(小数点以下切り上げ)です。無料配布にはこの利用料がかかりません。これは制作費・振込費用・税金を含めた利益の計算ではありません。BOOTH公式の利用料を出品前に確認してください。

ダウンロード商品1件の利用料計算例
商品価格サービス利用料利用料を引いた額
500円73円427円
1,000円101円899円

DLsite:作品カテゴリと販売条件を確認する

DLsiteも同人作品の販売先の候補です。対象カテゴリ、審査、販売価格と受け取る金額、登録できるファイルは、出品時の公式案内で確認します。手数料を一律の割合としてBOOTHやKDPと比較すると、実際の条件を取り違えることがあります。

KDP:Kindleの読者へ届ける

KDPではEPUB、DOCX、KPFなどの原稿形式に対応しています。日本語のKindle電子書籍用原稿にPDFを使えるとは案内されていません。紙の本の入稿用PDFと、Kindle電子書籍用の原稿は区別してください。対応形式と制限はKDP公式の原稿形式で確認できます。

登録時は、タイトル・著者名・内容紹介・出版権・カテゴリ・価格などを設定し、KDPのプレビューで表示を確認します。初めての方はKDP登録・出版の入門ガイドも参照してください。出力ファイルの作成だけで出版審査や販売が完了するわけではありません。

BOOTHとKindleで同じ電子版を扱いたい場合
KDP Selectには電子版の独占配信条件があります。参加期間中は同じ本の電子版をBOOTHや自分のサイトなどで配布・販売する計画と両立できません。Kindle Unlimitedの対象にしたい場合も、申し込む前にKDP Selectの公式条件を確認してください。

二次創作・画像・引用の権利を確認する

自分で文章や絵を描いた作品でも、元作品のキャラクター、設定、画像などの利用条件は別に確認が必要です。二次創作は、権利者のガイドラインや許諾が、電子版の配布・販売、販売先、地域、価格に対応しているかを確かめてください。紙のイベントで頒布できたことが、そのまま電子版の許可になるとは限りません。

BOOTHやDLsiteに出品するだけで権利の許可が得られるわけではありません。また、KDPの可否も「二次創作」という名前だけで一律に決まるものではなく、必要な権利・許諾とコンテンツ規定に適合するかが問題になります。KDPコンテンツガイドラインでは、著作権などを侵害しないことを出版者に求めています。

AIで本文や表紙を生成した場合、KDPにはAI生成コンテンツの申告ルールもあります。自分の原稿を形式変換するだけの場合と、AIに内容を生成させた場合を区別して申告してください。

公開前のチェックリスト

電子化は印刷在庫を持たずに既刊を届ける方法ですが、校正や表紙制作の費用はかかり得ます。販売数も保証されません。まず短い一冊や一章で変換・表示確認を試し、読みやすさを確かめてから全体を整えると進めやすくなります。

手元の原稿を、一冊の形に。
小説・評論の原稿があれば、AIで本文を作り直す必要はありません。章を整えてEPUBにし、販売先のプレビューで確認するところから始められます。

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